2015年6月13日土曜日

La circunstancia de Rehabilitation ホンジュラスのリハビリ事情

Hola!!

今日は、ホンジュラスのリハビリ事情について書こうかと思います。
結構、真面目にね。

この国に来て、間も無く1年が経とうとしているのですが
先日、前々から調整を依頼していた
リハビリ養成校、リハ病院、施設の見学に行かせていただいたので

振り返りの意味も込めて書きます。
保健関連特にリハビリ業界の方でなければ、かなり退屈な内容ですので注意です。


今回、僕が見学させて頂いた施設は、3つ
テグシガルパ自治大学、大学病院
Universidad Nacional Autónoma al Honduras

ホンジュラス社会保険施設
IHSS ( Instisuto Hondureño de Segridad Social ) 

保健省サンフェリーペ病院
HOSPITAL  SAN FELIPE

まずは自治大学や教育について
ここは、日本で言う東大。
見にくいですが。。。

学生もメチャクチャ多くて、大学の敷地内にも関わらず
Ciudad de estudiantes(学生の街)なんて呼ばれています。
写真で写っているのは医学部キャンパスと大学病院です。

大学医学部では、この国でのリハビリの草分け的存在のDr.と話す機会を頂きました。
彼はメキシコでリハ医学を学び、この大学にリハ学科を作った方です。
とても物腰も柔らかく、しかし情熱的な方でした。

ところで学部、学科ですが

リハビリ学科は
Terapia Funcional
Terapia Fonoaudiología
この2つが存在しています。


元々、別の場所にあったリハ専門学校が統合、吸収される形でこの学科が成立しました。
つまり、出来立てホヤホヤ。

中も綺麗です。
教室。

小児実習室。

作業療法実習室


来年、ホンジュラスでは初めてのTerapia FuncionalLicenciadorが誕生します。

補足ですが、
Terapia Funcionalとは直訳すれば、機能訓練士。
イメージとしては理学療法士、作業療法士をくっつけた療法士です。

そしてLicenciadorとは資格所有者という意味です。
基本的には大学卒業者を指しています。

今までホンジュラスにはリハビリ学部・学科を持つ大学が存在しなかったので、
ホンジュラスではTécnico(専門学校卒)のセラピストばかりでした。

中南米では一般的ですが、
LicenciadorとTécnicoとでは知識、技術もさることながら
社会的な地位に大きな開きがあります。
イメージするならば、看護師と准看護師のような感じでしょう。

Licenciadorは4年生大学卒
Técnicoは2年生専門学校卒
それで、それぞれ獲得する事ができます。

僕もこの国に来た時は、
Licenciador?それともTécnico?とよく質問されたものでした。


ここで、驚くべき情報を1つ 

この国には資格試験が存在しないのです。
少なくともこの国では。

実は、他の学部も同様です。
医師でさえそうです。
驚きでしょう?
卒業すれは、各専門家として働く事ができるのです。

これをどう考えるかはお任せ致します。笑

補足が長くなりましたが、
つまり来年たった2人ですが、
ホンジュラスのリハビリ学科からLicenciadorが誕生します。
これはホンジュラスのリハ医療において非常に意味のある事なのです。

あと、僕の聞き間違えで無ければ
来年度には別のリハビリ養成校(私大)ができるとかなんとか。
ただ、これは不確かな情報です。
スペイン語をうまく聞き取れていない可能性有りですが。。。

さーここで問題
Q.ホンジュラスには現在、何人のリハビリテーションセラピストが居るでしょう?


A.現在、この国に居るリハビリ関連職種は
理学療法士 Ficioterapeuta(外国でLicenciadorを獲得)〜30人
作業療法士 Terapeuta Ocpecional (外国でLicenciadorを獲得)〜10人
言語聴覚士Terapeuta Fonoaudiología(外国でLicenciadorを獲得)〜10人
Terapeuta Funcional(Técnico)〜300人
Terapeuta Fonoaudiología(Técnico)0人

各所から話しを聞くと、大体これくらいの人数です。

ホンジュラスがWCPT等の国際協会に加入していないのは
以前どこかでお話しした事があったと思いますが
この国の事情を知れば納得です。


ちなみにリハビリテーション医は20人程度とのこと。

あとは教員はLicenciadorを持っているセラピストか医者で
人数は20人程度とのことでした。

これが教育の現状。



そして次は、病院やリハビリを提供している施設について
まず、日本とは違い基本的には各県に1つ
Centro de Rehabilitación と呼ばれる施設があります。
ホンジュラスは18県から構成されていますので、
リハビリを提供できる施設が全国に18施設あります。
ここに加えて、私立の施設があるので
おそらく50施設ほどでリハビリテーションを受ける事ができると思います。
予想ですけど。

あと、各施設にリハビリテーションセラピストが居るとは限りませんが。

それは前置きです。
今回は大学病院も含め、
この国のリハビリの最前線にある3つの施設を見させていただきました。

まずは先ほども紹介したココ。
①Universidad Nacional Autónoma al Honduras

リハビリ設備に関してはこの国ので一番整っている病院です。

1日の患者数:数十人程度
治療時間:40分前後
料金:所得や障害状況に応じる
セラピスト数:12名 (午前・午後の交代制)

この病院に関しては、日本の病院と比較しても遜色ないレベルの施設設備でした。






 IHSS ( Instisuto Hondureño de Segridad Social ) 
この病院は国が営む公的な病院です。

1日の患者数:100名以上
治療時間:1時間前後
料金:所得や障害に応じる
セラピスト数:30名(Licenciador 2名)

こんな感じです。
セラピスト数で言えば、30人ですがホンジュラスで最も多いです。
そして、どの病院でも共通している事ですが
基本的にADLレベルのまでのリハビリを提供しているしている所は
ほとんどありません。
これには多くの問題が有るのですが、それは今回は置いておきましょう。
しかし、この病院ではOT室もありADLに対する知識も豊富でした。

作業療法室

理学療法室

腰痛予防教室

リハ室

HOSPITAL  SAN FELIPE
ここもまた国の営む公的な病院です。


治療時間:1時間〜
料金:所得や障害に応じる
セラピスト数:20名程度

ここの特徴は、中南米ではよく見られるのですが
障害児の学校とリハビリ施設が併設されている事です。
もちろん、一般の外来患者も受けています。

あと、この施設には
義肢装具を作成する施設が存在します。

リハ室。

義肢装具室。

義肢装具室②。

さてさて、問題です。
Q.この国で装具を作る事ができる施設はいくつあるでしょう?


A.正解は4つです。

4つ。
これもまたこの国の現状です。
また、装具は作成できてもリハスタッフとの連携も薄く、
それ以前に装具に対する知識が乏しいので
ごく稀に装具を使う患者さんを見る事もありますが、
まず上手くは使いこなせていません。
切断者用の義足なども、中々すごい事になっています。
初期屈曲角度だのなんだのは、多分あまり知りません。

ちなみに料金は日本と対して変わらないです。
ですので、お金持ちの方々しか当然作る事はできません。


Q.この国ではリハビリにおいてどの様なファシリテーションが行われているのか?


A.特に存在しません。
これは、この国に来てずっと気になっていた疑問の一つでもあります。
整形、中枢、その他の疾患に対しても特に無いと言うのが現状でしょう。
学校では紹介程度。
そして臨床場面でもファシリテーションを教育する臨床家はいません。
一般的には、物理療法(温熱、電気、超音波)、
運動療法(関節可動域訓練、ストレッチ、マッサージ)を行う事が主流になっています。
筋力増強訓練や歩行訓練、ADL訓練等はもちろん
臨床推論に基づいた治療等は基本的には行う事は無いようです。

そして国においても、
セラピストはマッサージ師と似た様な捉え方をされていると言えます。

セラピスト自体の認知度もさる事ながら
実際の臨床場面にセラピストがいないと言う事も問題の一つでしょう。

臨床場面ではリハビリボランティア(主に障害児の保護者)
その方々がリハビリを行っている事がとても多いので。

Q.では、この国に今必要なものは?


A.ちょっと漠然としていますが、
まずはCBRのような活動を強化していく必要があると考えられます。
そして、教育現場にもっと臨床に近い教育者が入るべきだとも思います。

と、つらつらとリハビリ事情を書いてみました。
現状として質・量共に問題は多いですが、
だからと言って未来が暗い訳でわありません。

むしろ明るい。

今後は毎年、リハビリテーションセラピストが数十人単位で生まれてくるし
教育のレベルも確実に向上していくでしょう。
その分、臨床にセラピストが出ていく訳ですからね。

5年後〜10年後のホンジュラスのリハビリに期待です。

僕に関しては、目の前にある課題に取り組んでいくだけでございます。
それでは今日はこの辺で!Nos Vemos♪

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